深夜2時の工場で、上司の背中が教えてくれたこと

今から約20年前、まだ生産技術の仕事を始めたばかりの頃の話です。

担当していた試作設備がどうしても立ち上がらず、出荷の期限が迫っていました。

夕方のミーティングで私は、「ここまでやりましたが、もう間に合わないと思います」と説明しました。

すると上司は、怒ったような顔で会議室を出ていきました。

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上司は、そのまま設備の前へ行った

何をするのかと思って追いかけると、上司は私が途中まで立ち上げていた設備を触り始めました。

正直、「今からやるの?」と思いました。

でも上司は黙って、あれを試し、これを変え、設備を動かし続けました。

私も横に立って、一緒に原因を追いました。

途中から「これ試したのか?」「なんでこうなっている?」と会話が始まり、結局、深夜1時を回る頃まで設備の前にいました。

怒られたことより、手を動かした姿を覚えている

今の働き方の基準から見れば、深夜まで仕事をすることを美化するつもりはありません。

同じことを若い人に経験させるべきだとも思いません。

でも、あの日の上司の姿は今でも覚えています。

「無理です」と報告した私に、説教をするのではなく、自分で設備の前へ行った。

できない理由を並べる前に、まだ試せることがないかを探した。

私が学んだのは、長時間働くことではなく、その姿勢でした。

今も、困ると現場へ行きたくなる

その後17年間、生産技術を続けました。

設備が止まれば現物を見る。不良が出れば測る。分からなければ条件を変えて試す。

今は営業や技術提案をする側ですが、困りごとを聞くと現場を見たくなるのは、あの頃から変わっていません。

資料の中で答えを作るより、まず設備の前へ行く。

深夜の工場で上司から教わったのは、たぶんそのことだったのだと思います。

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