
製造現場で改善の話をしていると、いつの間にか「何を導入するか」の話になっていることがあります。AI、IoT、見える化、ロボット。もちろん技術は必要です。私自身、新しい技術は好きです。
でも、生産技術として現場にいた頃からずっと感じてきたのは、ツールを入れることと、現場が良くなることは別物だということです。
トップダウンで始まったものほど、現場では進まない
前職では、上から「これをやろう」と決まった改善活動を何度も経験しました。ところが、そういうものほど現場ではなかなか進みません。
現場からすると、今困っていることと、上から求められていることがズレているからです。
それでも上席が見に来るとなれば、急に動きます。突貫工事のように準備して、とりあえず動いているように見せる。説明資料も作る。視察が終わると、また元に戻る。
私はこういう光景を何度も見てきました。
現場は「今日困っていること」を知っている
経営側がDXや効率化を考えること自体は悪くありません。ただ、現場には現場にしか見えない大変さがあります。
毎日遠い場所まで点検に行く。高い場所の計器を見る。電源が取れない。ちょっとした確認のためだけに人が動く。設備ごとに仕様が違っていて、保全する人だけが苦労している。
こういう小さな困りごとは、会議資料の数字だけではなかなか見えてきません。
だから私は、まず「何を導入したいですか?」ではなく、「今、何に困っていますか?」から聞きたいと思っています。
改善は、ツール選びから始めない
今は私自身がIoTやカメラを提案する側にもいます。でも、現場に行って特に困っていることがなければ、無理に売る必要はないと思っています。
高機能な製品を入れるより、最低限の機能で十分なこともあります。場合によっては、新しいものを入れない方がいいこともあります。
製品を選ぶ前に、その現場で誰が困っていて、何を減らしたいのかを見る。私はそこから始めたいです。
「導入した」が成果になってはいけない
導入件数や削減時間は、報告資料には書きやすい数字です。でも、私が見たいのはそこだけではありません。
その設備やツールが半年後も使われているのか。現場の人が本当に楽になったのか。以前より仕事がやりやすくなったのか。
現場改善は、導入した瞬間がゴールではありません。
むしろ、そこから使われ続けるかどうかが本番です。
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続きは、【第2回】高性能なツールなら現場が良くなるわけではないで、ツール選びについてもう少し掘り下げています。
製品選定・設置・評価など、現場で一緒に進める仕事は支援内容にまとめています。

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[…] 組織と現場の温度差については、現場改善は「何を導入するか」から始めないでも書いています。 […]