【第2回】高性能なツールなら現場が良くなるわけではない

新しいツールを入れれば、現場が変わる。以前の私は、生産技術として設備を作る側にいたので、その期待感もよく分かります。

でも実際に設備を作り、立ち上げ、保全まで考えると、そんなに簡単ではありません。

高性能なら良い、ではない

例えば画像検査です。

接着剤がきちんと塗布されているか確認したいとします。こういう話になると、まずカメラの画素数や性能を上げたくなります。

でも、接着剤によってはブラックライトを当てるだけで見え方が大きく変わります。

つまり重要なのは、カメラのスペックより先に「何を見たいのか」「どうすれば見えるのか」を考えることです。

内製化すればするほど、別の苦労も増える

私は内製設備にもかなり関わってきました。自由に作れる反面、担当者や設備ごとに仕様がバラバラになりやすい。カメラもセンサーもメーカーが違い、互換性がなく、後から設備に組み込むだけで苦労することがあります。

ではメーカーを統一しようとなると、今度はコストが上がる。キーエンス製品などで統一すれば扱いやすくなりますが、設備全体ではかなり高額になるケースもあります。

内製化すれば安くなる、最新機器なら良くなる。そんな単純な話ではありません。私自身、こういうところでずっと苦労してきました。

機能を増やす前に、本当に必要かを考える

現場では、機能が多いことより、壊れにくい、交換しやすい、設定が簡単、誰でも使える、といったことの方が大事な場合があります。

最低限の機能でも、現場の困りごとにぴったり合えば十分です。逆に高性能でも、使う人に負担が増えれば改善とは言えません。

ツールは魔法の杖ではない

今はDXという言葉で、さまざまなツールが提案されています。便利なものもたくさんあります。

ただ、ツールそのものが改善してくれるわけではありません。

現場を見て、何に困っているかを理解して、その課題に合うものを選ぶ。必要なら自分たちで工夫する。必要なければ入れない。

生産技術をやってきた私にとって、改善は今でもそのくらい泥臭いものです。


現場DXについて続けて読む

第1回に続き、第3回ではDXを動かす人について書いています。

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