ものづくりの時代が変わったことについて

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会社で一生懸命やっているのに、なんだか報われないなと感じる事ってありますよね。

突然ですが、オンキヨーという会社を覚えていますか??

日本のオーディオを支えてきたメーカーです。音にこだわり、部品ひとつまで追い込んで、いい音を作り続けてきた会社でした。誰もが欲しがるオンキョーのステレオ、そのオンキヨーが2022年に倒産しました。

良いものを追い続けて、作り続けてきたオンキョーの倒産は、私にとって大きなショックでした。

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「いいものを作れば分かってもらえる」と思っていた

私は製造現場に17年いました。海外の部品メーカーにもいました。

その頃の私は、精度を上げることが正義だと本気で思っていました。図面の公差の真ん中を狙って、バラつきを抑えて、不良ゼロで納める。それが評価されるはずだと信じていたわけです。

ある時、寸法を追い込んだ部品を客先に持っていったことがあります。データも揃えて、工程能力も出して、これなら文句なしだろうと。

しかし、返ってきた言葉はこうでした。

「それより、納期を1週間縮められない?」

正直、ちょっとショックでした。こっちが一番時間をかけたところを、相手は見ていなかったわけです。(もちろん品質は大前提の上で、の話ですが)

一生懸命働くことは、無駄になったのか??

今は売り方の時代だと言われます。マーケティングが上手い会社が勝つ。ものづくりは厳しい。SNSで発信できる人が強い。

そういう空気を感じると、正直しんどくなります。一生懸命働きたいと思っているだけなのに、時代に乗らないと破滅するぞと言われているような気持ちになる。

私も最近、東京ビッグサイトの展示会でピッチに登壇して、見事に空振りしました。ヘルシオを例えに出して製品を説明したのですが、まったく刺さらなかった。伝えたいことは自分の中で明確だったのに、相手の頭の中に届かなかったわけです。

あの時に思ったのは、伝え方が下手だった、という反省だけではありませんでした。そもそも相手が何を聞きたいのかを、私が見に行っていなかった、ということです。

オンキヨーは、届け先が消えた

改めてオンキヨーの話に戻ります。

あの会社が負けた理由は、悪いものを作ったからではありません。良いものを作り続けている間に、音楽を聴く場所そのものが変わってしまったからです。

アンプとスピーカーの前に座って音を浴びる人が減って、スマホとイヤホンで聴く人が増えた。技術は磨かれ続けていたのに、その技術が効く場面がなくなっていった。

つまり、届け先が消えたわけです。

これは「マーケティングをやらなかったから負けた」という話とは、少し違うと思っています。だから私は、マーケティングという言葉を、うまく売りつける技術だとは考えていません。

自分の作ったものが、誰のどの場面で効くのか

私がやっているIoT点検機器の提案でも、同じことが起きます。

こちらが「この機能がすごいんです」と説明したい気持ちと、現場の方が「これで巡回が楽になるのか」を知りたい気持ちは、まったく別ものです。

だから現場に行きます。防爆エリアの中を実際に歩いて、どこで手が止まっているのかを見る。担当者の方が何回同じところを往復しているのかを数える。

顧客が「今は問題ないですよ」と言っていても、現場では確実に何かが起きています。それは机の上では絶対に見えません。

これって、設備の前に立って現物を見に行くのと、まったく同じ作業なんですよね。

前職の上司によく言われました。「分からなくなったら設備の前に立ってろ」と。あの言葉は、市場に対しても同じことが言えるのだと、今になって思います。

一生懸命と、時代を読むことは対立しない

一生懸命働くことと、時代に合わせることは、対立する話ではありません。

むしろ、「一生懸命作る」の中に「誰のために作っているのかを確かめに行く」が入っていなかった時代が、長すぎただけなのだと思います。

作る力は無駄になりません。オンキヨーの技術者の方々が積み上げてきたものも、無駄だったとは思いません。ただ、その力をどこに向けるかを決める作業が、今は作ることと同じくらい重要になったというだけです。

そしてその作業は、営業やマーケティングの人だけの仕事ではありません。作っている人間が一番現物を分かっているのだから、作っている人間こそが見に行くべきだと私は思っています。

私はこれからも現場に足を運びます。ものづくりに関わってきた人間の責任として、良いものが届かないまま消えていくのを、黙って見ていたくないからです。


製造現場のDXや点検業務の課題について、お気軽にご相談ください。現場を見せていただくところから始めます。

#ものづくりをわくわくに #JOINTSPARKS

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