私は今、カメラやAIを使った遠隔点検の仕事にも関わっています。現場に行かずに計器の値を確認できる。便利ですし、点検する人の負担を減らせる場面もあります。
それでも、設備の前で考えることがあります。「そもそも、この計器を毎回読む必要があるのだろうか」と。
カメラを付ければDXなのか
現場の圧力計を人が巡回して読む。その作業をカメラで撮影し、AIで数値を判定し、クラウドに記録する。確かに仕事のやり方は変わります。しかし、元の点検が何のためにあるのかを確認しないまま、撮影方法だけを置き換えても、本当に必要な改善なのかは分かりません。
まず、何を判断するための点検か
異常を早く見つけるためなのか。設備の状態変化を追うためなのか。法令や安全管理上、確認が求められているのか。目的によって、必要な方法は変わります。
設備の設計や制御を見直すことで、点検の頻度や方法を変えられるかもしれません。一方で、安全上必要な独立した確認を安易になくしてはいけません。現場の条件とリスクを見て判断する必要があります。
点検をなくした先に、何を生み出すか
私が考えたいのは、点検時間を減らして終わり、という話ではありません。そこで生まれた時間や予算を、新しい製品の試作や工程の見直しに使えないでしょうか。今ある技術を別の用途に生かせないでしょうか。
もちろん、すべての会社が新規事業に挑戦する必要はありません。今の生産を安定して続けることも大切です。ただ、現場で「こんなことを試したい」という声が生まれたとき、具体的な計画にして、小さく試し、測って確かめられる道筋があってほしいと思います。
道具より、目的から考えたい
カメラもAIも、私は便利な道具だと思っています。必要なら積極的に使います。でも、導入すること自体を目的にはしたくありません。
「何のためにこの仕事をしているのか」「本当に変えるべきところはどこか」。製造現場で働いてきた経験を生かして、これからもその問いから始めたいと思います。
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